琉球怪談本、いろいろ

琉球怪談本


『琉球怪談』シリーズ・小原猛さんの新作『琉球怪談百絵巻~不思議な子どもたち』を購入しました。

琉球怪談三作目となるこの本では、全ての話に挿絵が付いています。児童向けに新聞連載されていた話をまとめた本…らしいのですが、今までどおり面白くもゾッとするような怪談が満載です。前作までの『琉球怪談』で紹介されていた話もいくつか混ざっていますが、新たに挿絵つきということでまた新鮮な感じがします。怖かったり可愛かったり面白かったり、本当に同一作者なのかと疑いたくなるような様々なタッチのイラストがとても楽しいです。
惜しむらくは、ページを開けた瞬間イラストがネタバレになってしまう事…!特にオチで驚かせるタイプの話だと、効果半減という感じがするかもしれません。とても魅力的な絵だけに少々残念。しかし短編でそれに対処するのは難しいでしょうか。


個人的に好きな話は、「シャワーの背後に」「不思議な子どもたち」「家の外を走り回るもの」「隣の日本兵たち」「兵隊さんから物をもらってはいけないよ」「ヒーダマ」「sssカーブのでかい顔の男」です。
日本兵の話はどれも面白かった…。冷蔵庫で震えてる小さな日本兵、かわいい!これは可愛い!!スイジガイ(水字貝)に吸い込まれるのはホラーなのか。布団に挟まってる日本兵はちょっと怖いです。
SSSに出たという頭のでっかい男の話はまさしくホラー。SSSは沖縄の有名ホラースポットですが、私は絶対近寄らないのでデカ頭の男には会わずにすみそうです。


その他、キジムナーを呼び出す話。火の玉をフルスイングする話。謎の兵隊さんから小石を貰う話。

火事の前触れとなる子供たちの話。
不気味な子供の発したという「はぶりか」の意味を知りたい。



知ってはいけない気も、する。







さらにもう一冊、昨年十二月ごろに出版された恒川光太郎作『私はフーイー』も読了。

沖縄を舞台にした創作怪談短編集です。沖縄の話は実話怪談ばかりを読んで、創作にはあまり手を出さずにいたのですがとても楽しめました。収められているのは、「弥勒節」「クームン」「ニョラ穴」「夜のパーラー」「幻灯電車」「月夜の夢の、帰り道」「私はフーイー」の七編です。全ての話が沖縄を舞台としており、ホラーともファンタジーとも取れるような幻想的な文章が魅力的です。どんなえげつない話も淡々とした語り口で進められ、それがまた物悲しいというか…、独特の雰囲気を生み出しています。


お気に入りは「弥勒節」、「夜のパーラー」、「月夜の夢の、帰り道」。

「弥勒節」:島のタブーである怪異『ヨマブリ』と、不思議な胡弓を手に入れてしまった青年の話。とにかく主人公の胡弓を弾く描写が凄まじい。狂ったように流れる音楽が、読んでいる人の耳にも聞こえそうな、そんな勢いのある文章でした。なんとなく『セロ弾きのゴーシュ』を思い出します。
「夜のパーラー」:謎のオバアと娼婦が営む、夜間営業のパーラーの話。娼婦チカコが何故か憎めない。悪意がないというか、あっけらかんとして可愛らしく、恐ろしいです。最後の気だるい会話はまさに圧巻。いやー本当に逃げられないんだなぁ、という薄ら寒くもゆる~い気分になりました。でもオバアは普通に怖い。何者ですか。
「月夜の夢の、帰り道」:何をやっても上手くいかない青年の話。読み進めるほどにメンタルが削られていくというか、何もかも諦めたいような気分になってくる。「だって、怖くないですか。まるでそこら中に落とし穴がある」というセリフが印象的でした…。助けてタイラさん。

それ以外の話も面白かったです。沖縄でお化け電車を出すという発想がすごい。軽便鉄道かぁ。怪物ニョラ様は明らかに異色作でしたね…クトゥルフ的な…。精神侵食おっかないです。フーイーは壮大ファンタジーのヒロイン。




≪おまけ≫
こわがり百物語
マジです。

(青行燈:百物語の最後にでるらしい妖怪 → 青行燈の記事
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