ウチャタイマグラー

『ウチャタイマグラー』(御茶多理真五郎、御茶当真五郎)

ウチャタイマグラー

沖縄において、明日の旧暦12月8日は鬼餅(ムーチー)の日です。ムーチーの日には厄払いとして、月桃(サンニン)の葉で包んで蒸した、香りの良いお餅(ムーチー)を頂きます。仏壇や火の神に供え、壁に吊るしたりもします。私も子供の頃は、家や学校行事などでよく食べました。今でも月桃の葉が生えていると「あ、ムーチーの匂いがするなあ」と思い、食べたくなってしまいます。


そんなムーチーを取りに来るという、妖怪『ウチャタイマグラー』のお話。

○○○

昔、西原町嘉手苅村に五郎(グラー)という男がいた。彼は歌や三線、相撲が好きで、それも非常に強かった。祭りの日になると色々な遊場に行っては相撲を取ったが、彼に勝てる者は誰一人としていなかった。
やがて五郎が死ぬと、彼の遺体は御茶多理山の墓に葬られた。しかし彼の魂はその場に留まり、墓の中で亡者を呼び集めては相撲を取るようになった。歌声や音楽も墓の外まで聞こえた。
人々は彼の事を「御茶多理真五郎(ウチャタイマグラー)」と呼んで恐れ、近辺に近寄らないようにした。その後月日は流れ、いつしか墓からは何も聞こえなくなったという。
(『遺老説伝』より)


西原町ではその後、『ウチャタイマグラー』という妖怪としての逸話が伝わっている。
西原町安室では旧暦12月8日のムーチーの日になるとウチャタイマグラーが家々を訪ね、供物をねだるという。そこで安室の村人達はムーチーの日を一日早め、七日に行うようになった。そのためウチャタイマグラーの出没する地域では、ムーチーの日が一日早いのである。北中城では「ウーシヌハナマグラー」と呼ばれ、海岸近くの村を回っては食べ物を腐らせるため、同じくムーチーの日は早い。





という訳で地域によっては今日がムーチーの日です。この時期はムーチービーサ(鬼餅寒)といわれ、ぐっと冷え込む季節でもあります。出来立て熱々のお餅を食べて寒さを凌ぐのでしょうか。私も食べたくなってきました…。スーパーとかで普通に売ってるけど!出来立てが美味しいのです。
イラストで肩から二個ぶら下げてるのが月桃の葉に包まれたムーチー。その下にあるのは抱瓶(ダチビン)という、沖縄の携帯用酒瓶です。餅食べて酒飲んで、歌ったり三線弾いたり相撲取ったり、とにかく賑やかなイメージです、ウチャタイマグラー。

ちなみにウチャタイマグラーは、琉球の王、尚円の部下だったと言われ、密偵のような役割をして活躍したとも伝わっています。歴史的にも重要人物だった彼の墓は、西原町の御茶多理山に実在します。


(主な参考:崎原恒新『琉球の死後の世界』、西原松生『沖縄の怪談』、『よくわかる御願ハンドブック』)
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