見てはいけない馬頭

一条桟敷屋の鬼
昔、一条の桟敷屋(眺めの良い、一段高い造りの建物)に男が泊まり遊女と寝ていた。
夜中になって、風が強くなり雨も降って凄まじい様子となった大路を、「諸行無常」と吟じながら通る者がある。「何者だろう」と思って蔀(格子状の戸や窓)を少し押し開けて見てみると、軒ほども身長の高い、馬の頭を持った鬼がいた。恐れを抱いた男が蔀を下ろし部屋の奥の方へと逃げると、鬼は格子を押し開けて顔を差し入れ、「よくもご覧になりましたな、よくもご覧になりましたな」と言った。男は太刀を抜いて構え、「入ってきたら斬ってやろう」と女を側に置いて待った。すると鬼は「よくよくご覧なさい」と言い、去っていった。
これが百鬼夜行というものだろうかと恐ろしく思った男は、それより二度と一条の屋敷には泊まらなかった。

(『宇治拾遺物語』巻第十二、二十四「一条の桟敷屋鬼の事」)



見て欲しいのか、見て欲しくないのか…。
ホラー映画でカップルがイチャつくと大体ひどい目に合う法則。

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