物言う猫(1)

物言う猫
江戸番町辺りのとある武家では、決して猫を飼わないという。鼠が出てもその方針を変えようとはしない。
その理由として、実は昔、この家には長く飼っている猫がいた。あるとき縁側の端に雀が二、三羽いたところ、その猫が狙って飛び掛った。雀はすぐ飛び去ってしまったのだが、すると猫は、「残念なり」と小さな子供のように喋った。驚いた主人は猫を押さえつけ、火箸を構えて「畜類でありながら物を言うとは怪しいやつ!」と怒った。猫は再び声を発し、「物を言ったことなんてないのに」と答えた。主人が驚いて手を緩めると、それを見すまして飛び上がり、そのまま行方知れずとなってしまった。
それ以後この家では猫を飼ってはならぬ決まりとなり、その戒めを今もって守り続けているのだった。

(『耳嚢』巻の六「猫の怪異の事」)



物を言う猫の話です。「残念なり」は可愛すぎる…!


『耳嚢』には他にも同じような話が載っています。巻の四にある「猫物を言う事」では、寺で猫を飼っていた猫が鳩を逃がして「残念なり」と喋ります。驚いた和尚さんが「畜類でありながら物を言うとは奇怪である。人をたぶらかすつもりなのか。正直に話さないと殺す」と小刀で脅したところ、「十年余りも生きたものは皆喋ります。さらに十四、五年も過ぎると神変を得ます。ただ、そこまで生きる猫はいません。私はまだ十歳に達してはいませんが、狐と猫の間に生まれた子は十年ならずとも物を申すのです」と答え、寺を去ってしまいました。


喋る猫への反応は皆シビアというか。
十歳ちょっとで喋るよ!というのは、まあ、昔の基準でしょうかね。今の猫はかなり長生きですし。
物いう猫おまけ
※追記:おまけ漫画できました。

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猫可愛いです!

初めまして。
「残念なり」はいいですね。

 うちの猫は19年近く生きましたが、人語は喋ってくれませんでしたよ。
晩年よく寝言を言っていたのはそれだったのかもしれませんね。

 下の「ほっといてくれよ」の猫、スレ具合が可愛いです!
[ 2012/11/15 19:19 ] [ 編集 ]

Re: 猫可愛いです!

はじめまして!コメントありがとうございます。

19歳ぐらいの年齢なら、確かに喋ってしまいそうな気もします。
もしかすると寝言の中に人間の言葉も混ざっていたかもしれませんね…!

可愛げのない猫ばかり描いてしまって申し訳ないというか、
最後のが可愛いと言っていただけて嬉しいです!
[ 2012/11/16 00:08 ] [ 編集 ]

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