増える妖怪

小僧狸
『阿波の狸の話』より「小僧狸」

徳島県麻植郡学島村(現川島町)の化女の辻に、小僧の姿で現れたという化け狸。昔、夜中に人が歩いていると、その前に出てきて同じ方向に進みながら歩く邪魔をした。人が右に避ければ右に、左に避ければ左に寄って、常に人の前を塞ぐ。その人が腹を立てて突き飛ばしたり斬り付けたりすると、一人の小僧が二人になる。攻撃するたび、四人、八人、十六人と倍ずつ増えて道を塞いでいく。そうして朝の一番鶏が鳴くまで進行することは出来ず、一番鶏が鳴いた途端、小僧たちは一斉に消えていなくなるという。





小僧狸とよく似た例として、『桐一兵衛(キリイチベイ)』の話があります。
新潟県南魚沼郡や南蒲原郡に伝わっており、山路に現れ、斬りつけるごとに一人増えて数が多くなる妖怪だといいます。
 
山道を侍が歩いていたところ「早く歩いてお父様に抱かれ」と言って後ろから怪しい子供が追いかけてくる。刀で斬りつけると、子供は二人になり、斬るたびに一人づつ増えて大勢になってしまう。侍が逃げ出すと子供の大群は追いかけてきたが、鶏の声がした途端消え失せてしまった。鶏の鳴き声を上げたのは、侍の持つ刀に彫られた鶏の目貫だったという。(文野白駒『加無波良夜譚』)


○○○


ちなみに桐一兵衛とは斬一倍のもじりらしいです。
子供の姿をしているところや一番鶏に退散するところまで、小僧狸の話とよく似ています。もう一つ似ているといえば、『諸国百物語』の「浅間の社の化け物の事」にも増える妖怪の話があります。


信濃(長野県)の剛毅な侍が、浅間の社(神社)に化け物がいると聞いて見に行くことにした。夜、拝殿に腰掛けて待っていると、若くて美しい女が三歳ぐらいの子を抱えて現れた。「あの方に抱かれなさい」と女に言われ、子供が侍に縋り付く。追い払っても戻ってくるため侍が斬りつけると、真っ二つになったところからまた目鼻がついて再生する。そうして一人が二人になるのを斬り付けていくうち、とうとう二、三百人ほどになってしまい拝殿を埋め尽くした。すると女が「では、私も参りましょう」と言ったので来たら斬り殺してやろうと思っていると、轟音がして大きな鬼が襲いかかってきた。侍は鬼に短刀を三度突き立て、止めを刺したと思ったところで気を失った。家来が駆けつけてみると化物はみな消え失せており、刀は塔の九輪(仏塔の上についてる輪装飾)を突き通していた。


こちらも妖怪増えまくりです。
二、三百人に増えるまで斬り続けるのがすごいな。そしてやっぱり増えるのは子供ですね。女が子供を抱かせてくるあたり、どちらかというと産女のパターンに類似している感じもします。


○○○


以上。切り分けたところから分裂・再生するという「増える妖怪」達でした。それってプラナリア…。まあ小僧狸は突き飛ばしただけでも分裂するらしいですが。しかも総数が倍になるみたいだし。

分裂したり仲間を呼んだりする敵って厄介ですよね。ゲームとかでね。







若干乙女チックな感じの更新が続いた後でのバイオレンス漫画。
ホント統一感のないブログですいません。

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[ 2012/11/19 14:56 ] [ 編集 ]

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