耳切り坊主

耳切坊主

『耳切り坊主(ミミチリボージ)』

沖縄県那覇の悟道院という寺に、黒金座主と呼ばれる僧がいた。彼は読経や説教がうまく多くの人を引き付けたが、妖術を使って女性に悪さをしたり金品を盗んだりしていた。黒金座主を成敗すべく、王の命令で北谷王子は彼を住居に招き碁の勝負を挑む。座主の提案で、王子の片髷(まげ)と座主の耳が賭けられることになった。王子は妖術に惑わされそうになりながらも、隙をついて座主の耳を切り落とす。座主は深い傷を負い、怨みの言葉を吐きながら死んでいった。
その後、御殿に耳のない坊主の亡霊が現れるようになり、さらに王子に男の子が生まれると座主の呪いでみんな早死にしてしまう。そこで男の子が生まれたときには「大女が産まれたぞ!」と叫んだところ、男の子が死んでしまう事はなくなった。それからというもの沖縄では子供が生まれると逆の性別を言って魔よけとする風習が出来たと言われている。

また、沖縄にはこの伝説を基にした子守唄がある。

大村御殿の角なかい(角の所に)
耳切り坊主ぬ 立っちょんど
幾人幾人 立っちょやびか(何人立っているのか)
三人四人 立っちょんど
鎌ん 小刀ん 持っちょんど
泣ちょる童 耳グスグス
ヘイヨー ヘイヨー 泣かんど
ヘイヨー ヘイヨー 泣かんど

(『沖縄の伝説散歩』沖縄文化社より)



沖縄では有名な子守唄らしいのですが、あいにく私は知りませんでした。
「泣く子は耳切り坊主に耳を切られるよ!」という子守唄は相当怖いですね。
ナマハゲの「泣く子はいねがー」と同じような感じか。
ちなみにこの歌、坂本龍一が『NEO GEO』という曲に取り入れた事でも知られています。



尚敬王の時代(1713~1751年)那覇若狭町の護道院で黒金座主という僧が北谷王子に成敗され、その怨霊が北谷王子家を呪ったというのが黒金座主伝説の大筋です。このとき黒金座主と呼ばれていた僧とは波上護国寺の真言宗高僧である盛海上人だったと言われています。
また、その盛海上人が名僧だったという説もあり、琉球王府の政治批判を行ったことから北谷王子に粛清されたのではとも考えられています。

当時北谷王子の住居は北谷御殿と呼ばれていましたが、子孫の代に大村御殿と改名されています。その後1975年に現在の首里高校敷地内にあった中城御殿が移転してきたため、大村御殿の場所には中城御殿が建設されました。戦争で焼失したのち県立博物館になっていましたが、その後県立博物館は新都心に移転したので現在は何もありません。しかし発掘調査が行われ図面や遺構などの新史料が見つかってからは、中城御殿の復元が検討されているそうです。御殿が復元されたら歴史的な雰囲気がより感じられるようになるかもしれませんね。
でも単純に怪談スポットとして考えるなら、現在の空き地の角にポツンと立っている方が怖いかな…。大村御殿は復元されませんし。子守唄の歌詞では三、四人いると書かれているあたり、黒金座主個人の怨霊ではなく完全に妖怪化してますよね。鎌を持ったお坊さんが何人もいて耳を切りに来る…おお、怖いぞ。


ところで私が耳切り坊主を知ったのは、沖縄では有名なローカルホラードラマ「オキナワノコワイハナシ」のテーマ曲からです。始まった当時は耳切り坊主の伝説も子守唄も知らなかったので、「何だこの歌めっちゃ怖い…耳切り坊主ってなんだろう、耳なし芳一のことかな」なんて思ってました。
ちなみに今年も琉球放送にて「オキナワノコワイハナシ2012」が8月30日に放送されます。どうやらゾンビ物らしい。前の『オバー・オブ・ザ・デッド』もゾンビだったんじゃないか?今回はギャグじゃないんだろうか。



※追記 『耳切り坊主2』
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