帽子工場の陽気な幽霊

陽気な幽霊

大正二年六月、沖縄の新聞に掲載された話。

那覇には昔、有名な幽霊屋敷があった。それも今では帽子工場となり、昼夜問わず職人達で賑わっていた。夜の九時頃になっても明るい電灯の下で、職人達はアダン葉の帽子を編んでいた。大勢で流行歌を歌い、とても騒がしかった。
そんな中、縁側から黒くて丸い塊のような怪物がぬーっと現れた。その怪物はどんどん背丈が伸びて大きくなり、天井ほどまで伸び上がった。それは男か女か、人間か動物かもよく分からなかった。全体が真っ黒で、肩の辺りはメリケン粉をかけたように白い。職人達が怯えていると、怪物はスルスルと縁側から庭に滑り落ちた。全体が縮んで小さくなり、やがて跡形もなく消えてしまった。
翌朝、職人達は占い師のところへ行って話を聞いた。
占い師いわく、「この幽霊は以前からこの屋敷に住んでいた。生前は滑稽ないたずら者で、お前達が歌ったりしてふざけているものだから、つい浮かれてひょっこり出てきたのだ。そして丸くなったり伸びたりしてお前達をからかった。肩のあたりが白かったのは、帽子の原料を漂白するカルキをかけられたからだ」ということである。


(参考:佐久田繁『霊界からの使者』月間沖縄社より、「陽気な幽霊」)



カルキで漂白される幽霊…、しかし結構余裕である。
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