ばらは赤く、すみれは青い

今日はバレンタインデーです。
しかし絵や漫画を描いている時間がなかったので…!とりあえずバレンタインのマザーグース小ネタだけでも紹介しようかと。(あとで何か付け加えるかもしれませんが。)

こういうのは前もって紹介しないとあまり意味がない、って分かってる…分かってるんです。


Roses are red,
Violets are blue. 
Sugar is sweet,
And so are you

ばらは赤く
すみれは青い
さとうは甘く
あなたもおなじ



この唄は、バレンタインに定番のマザーグースです。海外のバレンタインではカードを送り合うことが多く、その文面としてもこのマザーグースは使われています。ちなみに人間に対する「甘い(sweet)」には、優しい、可愛いといった意味があります。

さらに長いバージョンでは、つぎのような歌もあります。

The rose is red, the violet blue,
The honey's sweet, and so are you.
Thou art my love, and I am thine;
I drew thee to my valentine;
The lot was cast and then I drew,
And fortune said it should be you.

ばらは赤く すみれは青い
はちみつは甘く あなたもおなじ
あなたは私の恋人 私はあなたのもの
私のバレンタインにあなたを引き当てた
くじが引かれ 私は引き当てた
あなたなのだと運命が告げた


※Thou art~:あなたが~だ
※thine:なんじのもの
※lot:くじ


古い唄のせいか、英語の言い回しがちょっと難しいですね…。

この唄はバレンタインデーの古い慣習を表しています。現在のバレンタインの時期になると、昔はルペルカーリア祭というお祭りが行われていました。名前を書いた紙を箱の中に入れ、くじ引きで祭りのパートナーを決めたそうです。そしてこのイベントがバレンタインの起源とも言われています。

またバレンタインの日には、最初に目にした異性が恋人となると言い伝えられています。シェイクスピアの戯曲『ハムレット』でも、悲劇のヒロイン・オフィーリアが「明日は聖バレンタインデー 夜明け前からあなたの窓辺に立って わたしはあなたのバレンタインになるの」という唄を口ずさむシーンがあります。

そして、さらに別のバージョン。

The rose is red,the violet blue,
The gillyflower sweet, and so are you.
These are the words you bade me say
For a pair of new gloves on Easter day.

ばらは赤く すみれは青い
アラセイトウは甘く あなたもおなじ
これはあなたが唱えさせた言葉
イースターの日 新しい手袋のために


※gillyflower:アラセイトウ、ストック(花の名前)
※bade:bid(~するように命じる)の過去形


こちらはバレンタインではなくイースター(復活祭)の唄となっています。同じく古い慣習を表しており、昔はイースターの日に恋人へ手袋を贈ったのだそうです。そしてやっぱり恋の歌ですね。






「ばらは赤く、すみれは青い」の唄は言葉が分かりやすく有名なので、色々な小説や映画にも使われています。

ローラ・インガルス・ワイルダー著『大きな森の小さな家』には、主人公のローラと姉のメアリーが町の雑貨屋に行くシーンで登場します。店のご主人は姉妹に、白くて平べったい、ハート型のキャンディーをプレゼントします。ローラのキャンディーには赤い字で「Sweets to the sweet(かわいい子に、甘いお菓子を)」とだけ書かれていたのに対し、姉のキャンディーには「ばらは赤くすみれは青い」の唄が書かれていました。姉に劣等感を感じているローラは、「メアリーはお行儀もいいおりこうさん。きれいな金髪の巻き毛だし、ハート形のキャンディには詩が書いてある」「いいことはメアリーばっかりなんて、ずるいなあ」と考えます。ローラが思わず羨むような素敵なものとして、この唄は使われているのです。
(※参考 ワイルダー著、こだまともこ・渡辺南都子訳『大きな森の小さな家』)


ちなみにただ引用されるだけでなく、唄をもじったパロディも多いです。

『大きな森の小さな家』のシリーズ続編(ただし作者はワイルダーの娘)『大きな赤いリンゴの地』では、「ばらは赤くすみれは青い、アスフェティディ(植物の樹脂)はくさい、お前もくさい」というからかい唄になっています。
同様に、スティーブン・キング著『キャリー』でも「ばらは赤い。すみれは青い。砂糖は甘い。でもキャリー・ホワイトはうんこを食べる(Sugar is sweet,but Carrie White eats shit.)」という悪口が出てきます。
(※参考 鳥山淳子著『もっと知りたいマザーグース』)


バレンタインのためのマザーグースも、その有名さから便利に使われているようです。
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[ 2014/02/14 18:27 ] マザーグース | TB(0) | CM(0)

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