2014年・年賀

あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い致します。

今年は午年です。なので馬に関する伝説…『遠野物語』に登場する、オシラサマを描いてみました。

オシラサマ

『オシラサマ』(おしら様、お白様)

オシラサマとは、主に東北地方を中心とする、民間信仰のご神体を指す。多くは桑などの木、あるいは竹の棒に布切れをかぶせた人形を祀る。その形状は、棒の上から布を被せる(頭を隠す)「包頭型」と、服を着せるように棒を包む(頭を見せる)「貫頭型」がある。後者の場合、烏帽子頭と姫頭、馬頭と姫頭、丸頭の男女というように、一対になっていることが多い。

オシラサマ信仰の由来の一つに、馬と娘の婚姻譚がある。
昔々ある貧しい百姓の家に、美しい娘がいた。娘は、この家で飼育していた一匹の馬を愛した。夜は厩舎に通い、ついには夫婦となった。それを知った父は馬を連れ出し、桑の木に吊り下げて殺してしまった。死んだ馬の首にすがり付き泣く娘を見て、父はさらに馬の首を斧で切り落とした。すると娘はその首に乗り、たちまち天に昇っていったという。オシラサマというのはこの時に生まれた神である。馬を吊り下げた桑の枝からその神の像が作られた。


<※以下、追記で補足説明しました>



オシラサマの由来譚にも地域によって差異があります。

・附馬牛村に伝わる話
天竺の長者の娘が馬に嫁いだ。それを憎んだ父が、馬を殺しその皮を松の木の枝にかけておいた。木の下で娘は恋い慕って泣く。すると馬の皮は枝から落ち、娘の体を包んで天に飛んだという。

・遠野のある町に伝わる話
ある田舎に父と娘がおり、娘は馬に嫁いだ。怒った父は馬を桑の木に繋いで殺した。娘は馬の皮を用いて小舟を作り、桑の木の櫂を操って海に出てしまった。しかし悲しみの末に死に、ある海岸に打ち上げられた。その皮舟と娘の亡骸から湧き出した虫が蚕になったという。

・さらに土淵村の一部だと、次のように語られる。
父が馬を殺し、悲しんだ娘は「私はこれから出て行きますが、父は後に残って困ることのないようにしておく。春三月の十六日の朝、夜明けに起きて庭の中の臼を見たまえ。父を養うものがあるから」と言って馬と共に天上に飛び去った。その日になり臼の中を見ると、馬の頭をした白い虫が湧いていた。それを桑の葉によって養い育てたという。

・佐々木喜善『聴耳草紙』にも同様の話がある(百十五番「オシラ神」)。馬の皮に包まれて天に昇った娘が、悲しむ両親の夢に現れた。春三月の十六日、臼の中にトトコ(蚕)いう虫がいるので桑の葉で飼育するようにと伝える。これが今の蚕の始まりであり、馬と娘はオシラ様という神様になった。



上述した馬と娘の話については、中国の『捜神記』にある馬娘婚姻譚が起源といわれています。こちらでは、父を迎えに行ったら結婚してやると娘が口にし、馬はその通りにしました。しかし娘は約束を守らず、その父も馬を殺して皮をはいでしまいます。すると馬の皮は娘を包んで天へと飛び上がりました。数日して、木の上に娘と馬の皮が戻ってきますが、それは蚕になったという話です。

蚕や桑の起源説があるように、オシラサマは養蚕の神として知られています。そのほか眼の神、女の病を祈る神、子供の神、狩の神など様々な形で信仰されているそうです。




○○○



午年で考えて、真っ先に思いついたのがオシラサマでした。
昇天する馬と娘、そして蚕と繭(蛾と絹糸)のイメージで描いています。

馬と娘の悲恋である『遠野物語』に対し、『捜神記』では馬の片思いとなっています。少し似ているなぁと思ったのが、三宅島に伝わる「首様」の伝説。娘に惚れた馬が「お前の頭に角が生えたら嫁にしてやる」と言われ、翌日、本当に角を生やして現れます。しかし娘は約束を破り、怒った馬が角で娘を突き殺しました。馬は首を切られ、島の者によって祀られました。それでも正月の二十四日になると、馬の首は村中を飛び回るそうです。こっちはバッドエンド一直線ですね…!
あとはグリム童話の『がちょう番の娘』も連想しました。外国に嫁入りした王女が、侍女に脅されがちょう番へと身を落とす話です。人語を話す馬ファラダは、切り落とされて首だけになっても王女を助けます。壁に掛けられた馬の首と親しく話す娘…『遠野物語』のオシラサマとよく似た雰囲気を感じます。



(主な参考文献:柳田國男『遠野物語』、佐々木喜善『聴耳草紙』『遠野のザシキワラシとオシラサマ』、石井正己『遠野物語の世界』、小松和彦『日本怪異妖怪大事典』)
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明けましておめでとうございます

 うわぁ!
 イラスト素敵ですー!≧▽≦

 実は今年の年賀状、当初はおしら様にしようかと思ったのです。
 ですが、父親に馬を殺される凄惨な逸話は新年の挨拶にはどうかと思ったので、ぐんまちゃんとふなっしーに変更しましたw
[ 2014/01/04 15:56 ] [ 編集 ]

Re: 明けましておめでとうございます

あけましておめでとうございます!

新年早々、馬のかわいそうな話もどうかと思いましたが、オシラサマしか思いつかなかったもので…。怪談系ブログだし、まぁいいか!と軽いノリで決定しました。
でもさすがに年賀状ではやめた方がいいかもしれませんね…ゆるキャラで良かったかと。


2014年もよろしくお願い致します~(‐v‐)
[ 2014/01/05 17:53 ] [ 編集 ]

よろしくお願いします^^

 そうですね。
 こちらでしたらオシラサマでも全然おkですねっ。

 うちで開催してる妖怪チャット会でも、オシラサマを年賀状に描こうと脳裏によぎった人がもう1人いますw
 妖怪好きは共通して思うことかも知れません(`・ω・´)b。
[ 2014/01/13 16:20 ] [ 編集 ]

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