ファチハンバーと首なし幽霊

沖縄県、喜如嘉地域に伝わる話です。

「現在の八〇才頃の人たちが、働きざかりの十七、十八才の頃、およそ大正の末期に当る。
喜如嘉のウフガーベークという川やキンジ山に杉の山(クブ道)があった。岩や石の上から、ファチハンバー(鉢をかぶった)といわれた得体の知れないおばけが出たり、首なし幽霊が出没していた。
男女が、クルチャ(砂糖ダルにつかうための木材)をとりに、とまりがけで山に入った。一晩も三晩も泊りがけで、クルチャをとって一里の山奥から、国頭村の浜まで運んでいた。夜ともなれば、必ずのようにこれらの幽霊があらわれ、川の水の音しか聞こえない淋しい山中で、よくそれを見かけた人がいた。
当時、この附近でいくさがあって、かなりの人たちが死亡し、未だその死骸が残っていたので、それをこわがってそこには近づかなかったという。」

(福地曠昭『大宜味のむかしばなし』より、「ファチハンバー幽霊」)




ファチハンバー。あるいはファチハンバ、ハチハンバーなどといわれます。
ピキンキルを調べているときにみつけたので、ついでに紹介。(本の出版は昭和55年)

ファチハンバーと首無し

「鉢かぶりと首なしの幽霊かー、面白いなあ」と思っていたらこんな絵に。
最初は鉢かつぎ姫と首なし騎士を連想したはずだったのですが…いつの間にか逆転しました。


○○○


ところでこの話だとファチハンバーは「幽霊」として紹介されていますが、調べてみると、どうやら沖縄の河童のような存在という説もあるらしいです。日本怪異妖怪事典によると「沖縄県において、人に危害を加えると伝えられる怪物。鉢をかぶったような姿だと考えられ、恐れられているが、その実態を伝える資料は少ない。その容姿から、河童との関係性も考えられる」と記されています。



その後たまたま読んだのですが、山城善光の『不思議な火をともす怪奇動物 ブナガヤ(きじむなあ)実在証言集』という本に、ファチハンバ伝説についての記述を見つけました。

『私の郷里喜如嘉に「海から空っぽで帰って来ても飯を呉れろ、しかし山から空っぽで帰ってきたら何も呉れるな」という言葉があって、どんなに疲れていても軽い夕方荷という山土産を担がされた。ところがある日どこかの小父さんが、文字通り手ぶらで血相をかえて奥山から逃げ帰ってきた。ファチハンバという奇怪な動物に出会ったからである。ファチハンバは人に危害を加えると言い伝えられていた。』

山城氏いわく、ファチハンバとは皿(ふぁち)冠り奴!と直訳でき、本土の河童のことである。沖縄にも河童が生存していたことを示しているといい、また「もう半世紀以上もファチハンバの目撃談を聞かないから、絶滅したものとみている」と締めくくっています。



沖縄にも河童がいるという話は面白いです。ちゃんと頭に皿もあります。
人に危害を加えるというのも気になりますが、川に引きずり込む訳ではなさそうですね。同地域にピキンキルもいますし。

ファチハンバーとは
いろいろすいません。
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