ピキンキル

ピキンキル

昔、喜如嘉の川のフンムイ(深淵)には、ピキンキルという水の精があらわれて、人の命を奪っていた。「ウンダ川」と「インナトチビ」、アミガーの「ウイヤチフンムイ」にそれがいるといわれ、ずい分深いところで、水浴中もこの場所は恐れられていた。
昔は、ここにおぼれ死んだ人が相当いてその壺が、自分がヤナッシニ(事故死)したので、極楽にいけないので、アトイザスン(同じ目に合わす)ために、川の底にひきこんでいったと、つたえられている。子供たちを危険な場所に近づけさせないための警告としての意味もあったにちがいない。


《福地曠昭『大宜味のむかし話』より、「ピキンキル(怪魚)の話」》



ピキンキル、あるいはピキンクルー。
沖縄県国頭地方に伝わる妖怪です。怪魚・水の精ともいわれ、その姿ははっきりしていません。

新里幸昭の『沖縄の妖怪』という論文によると、「ピキンクン」とは「引きずり込む」という意味があるそうです。地域によっては「ピキンキルル」「ピキンキガミ」「ピキガミ」などともいわれています。同じように水に引きずり込むタイプの妖怪に「ヒッパイン」「ヒッパヤー」「アシヒッパヤー」などもいて、こちらも名前の通り、足をひっぱるものらしいです。というか、名前そのまんまですね。
ピキンキルが紹介されている『大宜味のむかし話』の著者、福地曠昭さんも喜如嘉の出身です。喜如嘉のウンダ川にはピキンキルがいて、子供の足を引っ張るのだという話を大人から聞かされて育ったそうです。しかし幽霊がいるなどという話を聞くとわざわざ危険な場所に行く子供もおり、そういった子には米軍の立ち入り禁止看板(偽物)を立てておくと近寄らなかったそうで。(怪談専門誌『幽』vol.18より。)まあ、そりゃあ確かに近寄れないよな…。



折角水辺の妖怪なので、夏休みシーズンの間に紹介しておきたかったのですが。遅くなってしまいました。
ぎりぎり今日まで8月!……とても間に合ったとは言えませんね。分かってます。

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