黒いサンタクロース

メリークリスマス!メリークリスマス!メリークリスマス!!ドアを開けろ!!

ブラックサンタ

『クネヒト・ループレヒト』 (あるいはブラックサンタクロース)

・ドイツの伝統的な風習における、聖ニコラウスの同伴者(従者あるいは助手)。聖ニコラウスの日(12月6日)に聖ニコラウスとともに現れ、悪い子供を懲らしめる。
・伝統的なクネヒト・ループレヒトの姿は、長い髭をもち、毛皮を着ているか藁で身を覆ったものである。長い棒や灰の袋を持って現れることもあり、服には鈴がついている。時には、白馬にまたがった姿で考えられることもある。
・良い子には、聖ニコラウス(サンタのモデルと言われる)が甘いお菓子を上げるのに対し、いたずらばかりする悪い子にはクネヒト・ループレヒトがうれしくないプレゼント(石炭の塊や棒や石など)を置いていく。そのほか悪い子を灰袋で叩く、親が子供を鞭打つための小枝を置いていく、とも。



私も詳しくは知らないので、ウィキペディアからの参照です。

ちなみにトリビアの泉で知った口です…黒いサンタクロース。ルプレヒトはドイツ名。
動物の臓物をベッドにぶちまけるとか、悪い子を袋に入れて連れ去ってしまうとも聞きました。いやだな、臓物。
悪い子を懲らしめるということで、軍服風デザインに。

…クリスマスをお祝いするつもりは、あんまり無いです。


≪追記≫
聖ニコラウスの同伴者は他にもいるらしいです。中でもドイツ・ハンガリー・オーストリア辺りに伝わる『クランプス』が超怖い…!悪い子を鞭打ち、籠に入れてさらってしまうというクランプス。ヤギのような角に獣の体。そして顔が怖すぎる。何だこれ。どうみても悪魔というか、モンスターというか、……クリーチャー、的な…。画像検索すると大変な事になります。クネヒト・ルプレヒトとは全く別物なんだろうか。よく分かりません。
今でもミュンヘンなどではクリスマス前にパレードが行われているそうで、このクランプスに仮装した人々が町を練り歩き子供たちを脅します。西洋版なまはげとか言われちゃってる。しかもメイクや仮装のクオリティが高すぎる…。これは怖い。どんなワガママな子も、超良い子になると思います。

我如古の化け猫女房

がねこねこ1

がねこねこ2
『我如古の猫伝説』 (佐喜真興英『南島説話』)


沖縄県の我如古村に独身の老人がおり、あるとき若く美しい女と結婚して子供も産まれた。
それから数年の間は平和に過ごしていたが、やがて物心ついた子供が妙なことを言い出した。
「うちの母ちゃんは変だよ。父ちゃんが畑に出て行った後、母ちゃんは猫になって天井でネズミを捕まえ、家の後ろの方に行ってしまうんだよ」
夫はそれを聞いて驚いた。すぐにザル一杯ずつの魚と御飯を用意し、「これを持って出て行け」と妻に申し渡した。妻はザルを頭に載せてさっさと出て行ったが、気になった夫は後を付けてみることにした。

彼女は長柵という畑の洞窟の中に入り、仲間らしき者と話し始めた。
「私は人間に子供を産んでやったのに追い出された。悔しくて仕方ない。是非あの爺を取り殺してやらねば」
「お前がそんなに力んでも人間は物知りだ。取り殺そうとするときに呪文を唱えられたら、お前はきっと震え上がってしまうだろう」
そう言って相手はこのような呪文を口にした。

我如古長柵の (ガニクナガサクヌ)
青泣き猫 (オーナチマヤ)
青泣きするな (オーナチスナヨ)
高泣きするな (タカナチスナヨ)
青泣きせば (オーナチシネー)
松の頂に (マチヌハナニ)
首くくりさげらるぞ (クビクンチサギラリンド)
南風吹かば (ヘーヌカヂヌフチネー)
北の松に (ニシヌマチネー)
コツン! (ガッパヤ)
北風吹かば (ニシヌカヂヌフチネー)
南松に (ヘーヌマチニ)
コツン!! (ガッパヤドー)
嗚呼オトロシヤ (ハーウトルシヤヌンドー)

これを聞いた夫は喜んで家に帰った。その夕方、妻だった猫が家の前に来て、夫を取り殺そうと不気味な声で鳴いた。しかし夫が例の呪文を唱えると猫は何もせずに立ち去った。その後も何度か現れたものの毎度追い返され、ついにどうする事も出来なかったという。



沖縄県に伝わる民話です。「また猫の話かよ」とか言わない。


我如古の化け猫伝説には別のパターンもあって、こちらでは一人暮らしの婦人が飼っていた猫の話になっています。可愛がっていた猫が人間に化けて婦人を誑かし、村人たちが退治しようとするも敵いません。そこで僧侶に助けを求めたところ、先程の呪文を唱えて猫を洞窟に閉じ込めたというのです。


以上の話を由来として、猫が不気味な声で鳴いたらこの呪文を唱えるべきだと言い伝えられています。
他にも沖縄では猫にまつわる俗信が色々あり、

・猫の交尾を見ると禿頭になる。
・猫は只で貰ってはいけない。銭六厘と交換する。
・猫が死んだら、銭を添えた屍を木にかけておかないと喘息を病む。
・猫は十三年家で飼ってはいけない。化けて人に害をなす。
・子供が夜鳴きするとき「猫だぞ」と言っておどすと、化け猫が来て噛み殺してしまう。
・猫が非常に鳴き叫ぶ時は火事がある。
・猫を半殺しにすると必ず噛み殺される。
・夜に猫を呼ぶと幽霊が出る。
・死人の上を猫が飛び越えるとその屍は腐らなくなる。
 (『山原の土俗』より)

…などなど。
古い風習ですが、化け猫にならないよう猫の死骸は木に吊るすというのも有名です。
沖縄において猫は害をなすイメージが強かったのかもしれません。



(参考:島袋源七『山原の土俗(付、南島説話)』、崎原恒新『琉球の死後の世界』、今野円輔『日本怪談集妖怪篇』)

物言う猫(2)

以前紹介した「物言う猫」のおまけ漫画です。

残念ねこ漫画1


残念ねこ漫画2

残念ねこオチ

くだらないネタですいません。
『残念』という単語がゲシュタルト崩壊しました。

コメント返信

10日の拍手コメント返信です↓

[ 2012/12/14 14:23 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)

紅葉狩

夢ばし覚まし給ふなよ、夢ばし覚まし給ふなよ。

紅葉狩り

『紅葉狩』
余五将軍惟茂、紅葉狩りの時に山中にて鬼女に会う事。謡曲にも見えて、誰もが知ることであるからここでは余計に説明せず。(鳥山石燕『今昔百鬼拾遺』)




昔は説明が不要なぐらい有名だったらしい『紅葉狩』。能の演目として、今でも知られています。




戸隠山の山中で、高貴な女性の一行が紅葉を見物しながら酒宴を行っている。
そこへ鹿狩りに来ていた平惟茂が側を通りかかった。美女に誘われ、断りきれずに惟茂は宴会に参加する。一緒に酒を飲む惟茂は美女の優雅な舞を見ているうちに眠ってしまい、彼女達は「目を覚ますなよ」と言いながら立ち去る。
すると惟茂の夢の中に八幡大菩薩の使いである武内の神が現れ、女達の正体を教える。そして八幡大菩薩から預かった太刀を惟茂に授けた。
惟茂が目を覚ますと、女達は鬼神に変貌していた。岩に火を吹きかけ、巨大な体で襲い掛かる。しかし惟茂は少しも慌てることなく、与えられた刀によって鬼を成敗するのだった。




これが謡曲『紅葉狩』です。
この演目では、鬼神の化けた女の美しさと、鬼神と武士の戦いという力強さの両方の面にスポットが当てられています。前半で美しい舞を見せた美女が、後半では恐ろしい鬼神に変貌し暴れまわるという迫力の演出です。
同じ内容で歌舞伎の演目にもなっており、これには更科姫という鬼女が登場します。

さらに「紅葉」と「鬼」の物語については、芸能以外にも実際の戸隠山に伝わる伝説で有名です。
こちらでは美女に化ける鬼の集団ではなく、「紅葉」という名前の一人の女性が主役になっています。





ある夫婦が子供の出来ないことを悲しみ、第六天魔王に祈願したところ女の子が生まれた。夫婦はその子に「呉葉(くれは)」という名をつけて可愛がった。

美しく育った呉葉に豪家の息子が求婚するが、呉葉の父は娘を位の高い貴族に嫁がせたいと思い結婚を断る。しかし相手がなおも食い下がるため、呉葉は妖術で作り出した自分の分身を嫁がせる。呉葉と両親はそのまま支度金を持って京の都へと逃げ出し、偽者の呉葉は程なくして消えてしまった。
京に上った呉葉は「紅葉」に名前を変え、芸事に勤しんだ。紅葉は琴の腕を買われ、源経基の家に奉公することとなる。やがて経基の寵愛を受けるようになった紅葉は、今度は呪術によって正妻を殺そうとする。丑の刻になると正妻の元に鬼のような者たちが現れて苦しめた。
しかし紅葉の呪いをかける姿が目撃され、病平癒の祈祷を行った僧に企みを暴かれてしまう。彼女は捕らえられ、戸隠山へと追放された。

山に移り住んだ紅葉は、麓の村人の同情を買い、また病を治す祈祷を行うなどして信頼を得る。追放される前に宿していた経基の子も生まれた。
しかし幸せな暮らしを手に入れたはずの彼女は、男装して盗賊となった。富豪の家々を襲い、他の盗賊団をも手下につけた。やがては人を殺し、その生き血をすするのを楽しむまでになる。

「戸隠山の鬼女紅葉」の噂が広まり、天皇の勅令によって平惟茂に山賊退治が命じられた。惟茂は部下に戸隠山を攻めさせるも、幻術によって撃退されてしまう。そこで神仏の力を借りようと北向観音に祈願する。七日目の夜、夢に老僧が現れて戸隠山を案内、降魔の剣を授けた。
惟茂は全軍を率いて戸隠山に攻め入る。幻術も効かず、矢を射られた紅葉は鬼神の姿を現して空中に飛び上がった。すると突然天から金色の光が差して紅葉を照らす。光が当たった紅葉は地面に落下し、惟茂によってその首を取られたのであった。





以上、鬼女紅葉伝説の大筋でした。

明治時代、戸隠山の伝説を元に書かれた『北向山霊験記』という小説によるものです。長野市の戸隠や鬼無里地区ではこの伝説にまつわる場所も多く、紅葉ゆかりの寺や彼女が隠れ住んだ岩穴、彼女の墓といわれる石塔などが残っています。さらに現在でも、毎年紅葉のお祭りが行われているという人気ぶり。

鬼女紅葉の物語は謡曲『紅葉狩』と同様、平惟茂による鬼退治譚です。
ただし謡曲とは違い、一人の女性を主役に置いた話となっています。彼女の生い立ちから最期までを克明に描いたこの物語において、「武士が鬼を退治して問題解決」という流れでハッピーエンドとするには多少の寂しさすら感じられます。そのことを考えると、地元における紅葉の人気というのも納得できるのではないでしょうか。





(主な参考:『the 能 ドットコム』http://www.the-noh.com/jp/index.html、小松和彦『日本妖怪異聞録』、GAKKEN MOOK『日本の妖怪の謎と不思議』)



季節的にはもう冬なのかもしれませんが…どうしても描きたかった『紅葉狩』。
描いてるうちに、美女というより少女になってしまいました。紅葉狩りならぬ紅葉ガールということでひとつ。能の『紅葉狩』か、伝説の『鬼女紅葉』かはお好きなほうでどうぞ。


ところで長野市で行われる鬼女紅葉のお祭り、戸隠と鬼無里の二ヶ所で行われていると聞いたんですが本当でしょうか。豪華すぎる。祭りの写真とか見てたら本当に楽しそうで、ぜひとも行ってみたいです…いつか。

片輪車

『片輪車(かたわぐるま)』
片輪車

昔、近江国甲賀郡で、夜な夜な大路を車の軋る音が響いた。ある人が戸の隙間から覗き見ていると、寝床にいたはずの我が子がどこかへいなくなってしまった。その人はどうしようもなく、こんな歌を詠んだ。

「つみとがは われにこそあれ 小車のやるかたわかぬ 子をばかくしそ」
(罪科は私にあるのです。小車の行方も分からぬような子供を隠さないでください)

その夜、女の声にて「優しい人だなあ、それなら子は返しましょう」と言い、子供を投げ入れてきた。その後人は恐れ、決して見ることは無かったという。(鳥山石燕『今昔画図続百鬼』)





上記の文は、鳥山石燕による絵の添え書きなので短いです。ちょっと分かりにくいでしょうか。
長い原話(だと思われる話)もいずれ紹介したいです。


目ひとつの神(2)

※「目ひとつの神」(上田秋成『春雨物語』)について、先に一つ前の記事をお読みください。
目ひとつの神マンガ

お酒大好き、目ひとつの神様です。
酒を運びながら「肩が弱くて」と言い訳する兎と猿、舞を舞ったけど法師に駄目出しされる狐女官、飲みすぎて祝詞が頼りない神主など、ユーモラスすぎる面々も描きたかった。