オキナワノコワイハナシ2012感想

ドラマ「オキナワノコワイハナシ2012」を観ました。結局人の家でだけど…。

といっても第一話『と或る仕合せの果て』は見逃してしまいました。わりと怖い感じだったみたいですね…観たかった。二話目の『ゾンビのカジマヤー』はなんというほのぼのホラー。カジマヤー(97歳の長寿のお祝い)がしたいあまり、ゾンビとなって甦るおじいちゃん。猫も食べてしまうようなゾンビおじいと少年たちの心暖まる交流…ゆるいなあ。でもこういうの、好きです。



ところで問題は三話目の『久茂地屋ゾンビ』。
制作はなんとあの、映画『リング』や『らせん』のプロデューサー!「瀕死のJホラーにとどめを刺し」という謎のキャッチコピー!!なんだか怖そう…これは期待大!?


…と思って観た人は、ポカーンとなったであろう作品でした。すごい…この脚本にOK出たことがすごい…。


呪われた「おもろ」(沖縄の古謡)をラジオ番組で唱えてしまい、昔の琉球人がゾンビとなって甦るというストーリー。すっかり変わった平成の沖縄に、「ココガ、リュウキュウ…?」と困惑するゾンビ。そして沖縄のマジムン(妖怪)達。とにかくマイナーな沖縄妖怪がぞろぞろ出てくるというとんでもないドラマでした。うわああ何これ!沖縄妖怪好き以外は誰も得しないんじゃないの!?いいの!?
『仲西ヘーイ』が実写化されるのは、あとにも先にもこのドラマだけではないだろうか…。知名度的に『キジムナー』や『飴買い幽霊』は良いとして、『耳切坊主』あたりからちょっと厳しい。さらには『片足ピンザ』、『仲西ヘーイ』。一切妖怪の説明をしないのもまた凄いです。聞得大君で終わらせるのは良く分からないけど。ツッコミどころが多すぎます。オスプレイの配備を憂う仲西…。


すいません、正直すごくテンションあがりました。
製作者方々に最大の敬意を。とても面白かったです、最後のデザイン画?も。



・『仲西(ナカニシ)』:晩方、那覇と泊の間にある塩田潟原の潮渡橋付近で「仲西ヘーイ」と呼ぶと出てくる。

耳切坊主の記事はこちら。
[ 2012/08/31 00:47 ] 雑記 | TB(0) | CM(1)

大根の精

大根

『徒然草』/第六十八段より

筑紫の国に押領使のような職の者がいた。大根は何にでも効く素晴らしい薬だといって、毎朝二本ずつ食べるのを長く続けていた。
ある日、館に誰もいない隙をついて敵に囲まれ攻められそうになった。そこへ見知らぬ兵が二人現れ、命を惜しまず戦い皆追い返してしまった。不思議に思い「あなた方は日頃ここに住んでるとは思えない。このように戦ってくださるとは、いかなる人なのか」と尋ねると、「私達は、長い間あなたが信じ、毎朝食べてくださっている大根です」と言って去った。深く信心すれば、このような徳も得られたりするのだろう。



食べた物に恩返しされるって不思議ですよね。
これは怪談に入れていいものか…。

展示作品一覧

◆展示作品一覧◆

イラストや漫画、文章の一覧ページです。
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妖怪・怪談・伝説【その他日本】  (★=絵、☆=漫画)下に行くほど新しいです↓
怪談牡丹燈籠
西瓜の首
相撲幽霊
こまったほしがりさん(大煙管、杓子岩)☆
雪隠の怪
ジョロウグモ
賢淵の蜘蛛(附、水蜘蛛伝説まとめ)☆
釣られ人
大根の精
小さな嫁
執心髪蛇
食わず女房1(二口女)★☆
食わず女房2
中秋の名月(民話「首のない影」)★
増える妖怪(小僧狸・桐一兵衛、他)☆
青行燈
物言う猫1
見てはいけない馬頭(一条桟敷屋の鬼)☆
『平家物語』の妖怪退治(鵺、目競、油坊主)☆
目ひとつの神1(『春雨物語』紹介)★
目ひとつの神2
片輪車
紅葉狩(鬼女紅葉)★
物言う猫2
元日の化物
怪人赤マント(隠し神、油取り)★
怪人赤マント追記(小沢信男『わたしの赤マント』概要)
小豆の化け物
妖怪スイーツ考えてみた(瓶長・ぬりかべ・輪入道・手の目・毛羽毛現・アマビエ)★
妖怪スイーツ続き(どうもこうも・ぬっぺっぽう・ドーマンセーマン・稲生物怪録・豆腐小僧・白澤・九尾の狐・牛鬼)★
『幻想百物語埼玉』入手しました(チトリ、オクポ)☆
隙間の怪(隙間女、他)★
隙間の怪・おまけ漫画☆ 完結済み
おとん女郎
桂蔵坊狐
飛脚狐あれこれ
口裂け女1
『わたしの赤マント』について
あかまんとさんと(怪人赤マント)☆
赤マント落書き
2014年・年賀(オシラサマ)★
夜行さん
遠野物語
口裂け女2
ひきこさん★☆
テケテケ
七夕と素麺の話(遠野物語など)
八尺様
頭痛の神様
イナブラさん
猿夢★☆
八百屋お七
コダマネズミ(木霊鼠、小玉鼠)
コダマネズミと十二様
豆腐小僧と冷奴
2016年・年賀(猩々)★
紫女
狐憑きの話☆(『耳嚢』より)
2017年・年賀(波山)★
怪人アンサー
さとるくん☆ 
絵の中の美女(『太平百物語』)☆ ③(解説)


妖怪・怪談・伝説【沖縄】
耳切り坊主1
片足ピンザ★☆
我如古の化け猫女房
ウチャタイマグラー(御茶多理真五郎)★
琉球怪談朗読会(メリマツノカワラ、ユーリー)★☆
琉球怪談本、いろいろ(怪談本紹介と実録マンガ)☆
ジュリグヮーマジムン
仲西ヘーイ
「仲西」の出る潮渡橋に行ってみた
耳切り坊主2
わかさ妖怪さんぽに行ってきました(ダンガサマジムン)☆
多々那按司の墓
ピキンキル
ファチハンバーと首なし幽霊★☆
タマガイの話(チグトュ)☆
続・仲西ヘーイ
大村御殿に立っちょんど(耳切り坊主、怪談スポット感想)☆
牡馬の祟り
火事幽霊
帽子工場の陽気な幽霊
仲西ヘーイの注意点とか
アフィラーマジムン★☆



妖怪・怪談・伝説【海外】
黒いサンタクロース(クネヒト・ループレヒト)★
スレンダーマン
スレンダーマン漫画
Jeff The Killer(ジェフ・ザ・キラー)★☆
メアリーとリリー(ブラッディ・メアリー、リリーさん)★
スレンダーマンとジェフ・ザ・キラー☆
ジェフのビフォー・アフター
バニーマン
ジェフとスレンディ
海とジェフとスレンディ★☆
バネ足ジャック
スレンダーマン特集について★☆
オーレ・ルゲイエ(アンデルセン童話)★
ブラック・アイ・キッズ
ジェフの利き手★☆
ボドニーク★
ポルードニツァ((ポルドニッツァ))★
真っ赤なサンタと漆黒のストーカー おまけ (サンタとクネヒト・ループレヒト)☆
メリークリスマス2016(サンタとクネヒト・ループレヒト)★
赤い靴(アンデルセン童話)★


マザーグース
※はじめに※マザー・グースってなあに
回るサリー
ウィー・ウィリー・ウィンキー
男の子って何でできてるの?
リジー・ボーデン
マザーグースという呼び名(オールド・マザーグースほか)☆
フェル先生が嫌いです
月にいた男
ソロモン・グランディ
仕立て屋さんとカタツムリ
ハロウィンとマザーグース
ハロウィンとマザーグース・おまけ
ばらは赤く、すみれは青い
月とバルーン
飲んでいるのにのどが渇く
裏表のある男がいて


クトゥルフ神話
考えるクトゥルフ像
ティンダロスの猟犬
ルリム=シャイコース
ルリムさんちの食事情(ルリム=シャイコース)☆ 
古のもの
イスの偉大なる種族


その他、漫画
『奥さまは/魔女かもしれない』 本編 おまけ 完結済み (オカルト風味新婚さん四コマ)
『カボチャ悪魔とハロウィン姉弟』 (※イラスト『もうすぐハロウィンです』からの派生漫画)
パソコン購入記 実録マンガ
実録的な漫画(スレンダーマンネタ)
『ミサオくんの適当な除霊』第1話  (ホラー風味ラブコメ)
『ミサオくんの適当な除霊』第2話 
掲載お知らせ『花子さんとあそびたい』 月刊少年ガンガン&ガンガンONLINE掲載。4コママンガバトル参加
鳥獣戯画マンガ
掲載お知らせ『命運探偵 神田川』 ガンガンONLINE「読切カーニバルPremium 4S」掲載
『命運探偵 神田川』1~3話掲載されました! ガンガンONLINE、掲載


その他、イラスト
インソムニア
サーカス(中原中也)
レモン哀歌
もうすぐハロウィンです
謹賀新年(ヤマトタケル)
不思議の国のテーブル・マナー(『不思議の国のアリス』)
そういえば(バレンタイン絵)
ハッピー・バレンタイン
ほおずき
ブログ一周年御礼
人魚は歩けない(谷山浩子)
Hydnellum peckii キノコ絵
ポッキー&プリッツの日
ドクツルタケ キノコ絵
男子フィギュア、おめでとう(ソチ五輪・フィギュアスケート記念絵)
女子フィギュア、ありがとう(〃)
桜の森の満開の下(坂口安吾)
チシオタケ キノコ絵
『うわさの怪談 恐怖の学校Special』のお知らせ (仕事絵)
2015年・年賀
プチ・サンタ(クリスマス絵)


雑記
『旅する仮面』展感想
オキナワノコワイハナシ2012感想
『幽』vol.18・沖縄怪談大全レビュー
てのひら怪談 (投稿した短文小説:『青い灯』、『痴漢の手』、『風葬の猫』)
ドラマ感想と妖刀『北谷菜切』(『FEファーイースト序章』)
『日本怪異妖怪大事典』レビューのようなもの
オキナワノコワイハナシ2013感想
2013イチハナリアートプロジェクト感想 
『琉球怪談 百聞の十物語』part2
首里城祭2013 
『清水寺展』感想
『てのひら怪談 癸巳』
『おきなわ妖怪さんぽ』
沖縄の宝刀(千代金丸、治金丸、北谷菜切)
海洋堂フィギュアミュージアム 
『琉球妖怪大図鑑』
ポーズスケルトン
ガチャ『鳥獣机画』をやってみた(鳥獣戯画のガシャポン)
ガチャ『PUTITTO鳥獣戯画』(鳥獣戯画のガシャポン②)



※分類は同じなので、まとめて読みたい方は横の←カテゴリから飛んだほうがクリックが少なくて楽かもしれません。
[ 2012/08/28 16:00 ] ★展示作品一覧 | TB(0) | CM(1)

耳切り坊主

耳切坊主

『耳切り坊主(ミミチリボージ)』

沖縄県那覇の悟道院という寺に、黒金座主と呼ばれる僧がいた。彼は読経や説教がうまく多くの人を引き付けたが、妖術を使って女性に悪さをしたり金品を盗んだりしていた。黒金座主を成敗すべく、王の命令で北谷王子は彼を住居に招き碁の勝負を挑む。座主の提案で、王子の片髷(まげ)と座主の耳が賭けられることになった。王子は妖術に惑わされそうになりながらも、隙をついて座主の耳を切り落とす。座主は深い傷を負い、怨みの言葉を吐きながら死んでいった。
その後、御殿に耳のない坊主の亡霊が現れるようになり、さらに王子に男の子が生まれると座主の呪いでみんな早死にしてしまう。そこで男の子が生まれたときには「大女が産まれたぞ!」と叫んだところ、男の子が死んでしまう事はなくなった。それからというもの沖縄では子供が生まれると逆の性別を言って魔よけとする風習が出来たと言われている。

また、沖縄にはこの伝説を基にした子守唄がある。

大村御殿の角なかい(角の所に)
耳切り坊主ぬ 立っちょんど
幾人幾人 立っちょやびか(何人立っているのか)
三人四人 立っちょんど
鎌ん 小刀ん 持っちょんど
泣ちょる童 耳グスグス
ヘイヨー ヘイヨー 泣かんど
ヘイヨー ヘイヨー 泣かんど

(『沖縄の伝説散歩』沖縄文化社より)



沖縄では有名な子守唄らしいのですが、あいにく私は知りませんでした。
「泣く子は耳切り坊主に耳を切られるよ!」という子守唄は相当怖いですね。
ナマハゲの「泣く子はいねがー」と同じような感じか。
ちなみにこの歌、坂本龍一が『NEO GEO』という曲に取り入れた事でも知られています。



尚敬王の時代(1713~1751年)那覇若狭町の護道院で黒金座主という僧が北谷王子に成敗され、その怨霊が北谷王子家を呪ったというのが黒金座主伝説の大筋です。このとき黒金座主と呼ばれていた僧とは波上護国寺の真言宗高僧である盛海上人だったと言われています。
また、その盛海上人が名僧だったという説もあり、琉球王府の政治批判を行ったことから北谷王子に粛清されたのではとも考えられています。

当時北谷王子の住居は北谷御殿と呼ばれていましたが、子孫の代に大村御殿と改名されています。その後1975年に現在の首里高校敷地内にあった中城御殿が移転してきたため、大村御殿の場所には中城御殿が建設されました。戦争で焼失したのち県立博物館になっていましたが、その後県立博物館は新都心に移転したので現在は何もありません。しかし発掘調査が行われ図面や遺構などの新史料が見つかってからは、中城御殿の復元が検討されているそうです。御殿が復元されたら歴史的な雰囲気がより感じられるようになるかもしれませんね。
でも単純に怪談スポットとして考えるなら、現在の空き地の角にポツンと立っている方が怖いかな…。大村御殿は復元されませんし。子守唄の歌詞では三、四人いると書かれているあたり、黒金座主個人の怨霊ではなく完全に妖怪化してますよね。鎌を持ったお坊さんが何人もいて耳を切りに来る…おお、怖いぞ。


ところで私が耳切り坊主を知ったのは、沖縄では有名なローカルホラードラマ「オキナワノコワイハナシ」のテーマ曲からです。始まった当時は耳切り坊主の伝説も子守唄も知らなかったので、「何だこの歌めっちゃ怖い…耳切り坊主ってなんだろう、耳なし芳一のことかな」なんて思ってました。
ちなみに今年も琉球放送にて「オキナワノコワイハナシ2012」が8月30日に放送されます。どうやらゾンビ物らしい。前の『オバー・オブ・ザ・デッド』もゾンビだったんじゃないか?今回はギャグじゃないんだろうか。



※追記 『耳切り坊主2』

釣られ人

釣られ人

水の中がどうなっているのかそんな事も知らないで。
あなた、よくその糸を垂らせますね。


【賢淵からの連想】

賢淵の蜘蛛

かしこぶち

仙台市広瀬川の賢淵(かしこぶち)に伝わる民話です。
ある男が川岸の岩に腰をおろして釣りをしていると、一匹の蜘蛛が現れて右足に糸をくっつけてきました。かたわらの柳の大木の根元に糸をなすりつけておくと、やがてすさまじい音がして大木は淵の中へ吸い込まれてしまいました。驚く男に対し、水しぶきの中から「かしこい、かしこい」と声がしたそうです。
獲物を取り逃がしたのにむしろ相手を褒め称える、という滑稽な恐怖譚。『賢淵』という名前のストレートさが潔くて好きです。伝説って結構そんな感じ。



広瀬川には他に、『藤助淵』という伝説も伝わっています。藤助という男が水辺で釣りをしていると大ウナギが現れ、「明日の晩、賢淵の蜘蛛が攻めてくる。決して声を出さずにそこに立っていてくれ」と頼まれました。約束通りそこに行くと、すさまじい水音を立てて合戦が始まります。藤助が思わず「あっ」と声を出すと淵は静かになり、次の朝、負けた大ウナギの首が浮いてるのを見た藤助は狂い死にしてしまいました。

蜘蛛VSウナギ…淵の主の対決すごそうです。ちなみに近くの『源兵衛淵』にも同一の伝説があります。源兵衛淵の場合、合戦の際「源兵衛ここに控えておる」と言ってくれと大ウナギに頼まれますが、怖くなった源兵衛は家に逃げてしまう話になっています。オチは同じ。






●水蜘蛛伝説まとめ●

水辺で蜘蛛に糸をかけられ、その糸を移すことで危機一髪難を逃れるという「水蜘蛛」型の民話は全国各地に存在します。
有名なのは、静岡県伊豆市の『浄蓮の滝』伝説。賢淵と同じく木に糸を移して助かる話ですが(蜘蛛には何も言われない)、こちらでは滝の主がジョロウグモということになっています。
この話には続きがあり、滝の主がジョロウグモだと知った村人たちは滝に近寄らなくなっていました。しかしよその地域から来た木こりが木を切りに来て斧を落としてしまい、拾おうとして滝に潜ると水の中に美女がいました。美女は男に斧を渡し、「私の事は誰にも言ってはいけない」と口止めします。男は長らく黙っていましたが、ある日酒の席でうっかり話してしまいます。全て打ち明けてすっきりした男はそのまま眠り、二度と目を覚ましませんでした。


↓他にも色々。


・勢返しの滝
熊本県菊池郡に伝わる。蜘蛛が膝頭に糸をつけたので近くの柳に擦りつけておいた。するちえらい音がして木は根こそぎ水中に引きこまれた。

・おとろしが(おそろしが)淵
熊本県南阿蘇郡に伝わる。非常に蜘蛛の多い場所で、魚釣りに行っても竿も糸も蜘蛛の巣で台無しにされる。そのためか淵の主は蜘蛛だと言われていた。ある男が釣りをしていると、脚のまわりを蜘蛛がぐるぐる回り、川を挟んで反対側の岸の方へ泳いでいってはまた戻ってくるのを繰り返す。しばらくすると大きな音がして自分の履いていた草履が向こうの岸へ飛んで行った。草履ではなく草鞋か素足だったら男は引きずり込まれていたであろう。

・コグロ淵(不動の滝)
茨城県高荻市に伝わる。釣りをしていると蜘蛛が親指に糸をかけた。大木の切り株に移しておいたところ、切り株は深い淵の中に引き込まれ、そこから不気味な笑い声が聞こえた。

・景信淵
東京都八王子市に伝わる。ここには悲惨な落城伝説もあり人の寄りつかない場所だったが、ある男が釣りをしてみると沢山釣れた。しかしふと気がつくと蜘蛛が片足に糸を巻きつけている。足を上げると石のように重く、男はそれを木の株に移した。しばらく繰り返していると急に天気が大荒れになり、逃げ出した瞬間木の株が水に引き込まれた。するとすぐ嵐は収まった。

・半田山の沼
福島県伊達郡に伝わる。沢山釣れて喜んでいると水蜘蛛が裸足の親指に糸をかけた。不思議に思い近くにあった柳の株にかけておくと、やがて沼の底から「次郎も太郎もみんな来い」と大声がする。びっくりしていると魚籠の中の魚がみんな逃げだしてしまう。そのうち沼の中から大勢の声でえんとえんやらさあという掛け声がして、太い株根っこはぽっきり折れてしまった。

・『裏見寒話』にある話
中群あたりの淵でのこと。釣り糸を垂れていると蜘蛛が左足の指に糸を何重にも巻きつけているの気付く。驚いて近くの柳の切り株に擦りつけておくと切り株は水中に引き込まれた。古老が言うには、水中の蜘蛛は人を食うらしい。

・『耳嚢』にある話
千葉県夷隅郡旧大野村の話。大野村の川に通称縦の井戸という深いところがあった。釣りをしていると足に糸を巻きつけられたので側にあった杭の木に移した。水中から「よしか、よしか」と声がし、藪の中から「よし」と返事が返ったかと思うと杭の木は半分から折られてしまった。

・『遠野物語』にある話
岩手県土淵村の話。小鳥瀬川の奥の淵で釣りをしていると、時々蜘蛛の巣が顔にかかるので傍らの切り株にかけておいた。イワナがよく釣れ、そろそろ帰ろうとすると突然切り株が根こそぎ淵の中に落ち込んだ。家に帰って釣った魚を確認すると、魚はみんな柳の葉だった。




その他、埼玉県廻淵や、静岡県たっくい淵、長野県蜘蛛が淵などにも同様の話があるそうです。
いやあ多いですね…まさに全国規模。

地域によっては微妙に細かいところが違ったりして面白いです。蜘蛛が喋る場合も結構多い。でも人間の姿で現れるのは浄蓮の滝ぐらいでしょうか。やはりこちらは正体がジョロウグモである事がポイントなのかもしれませんね。ジョロウグモ=美女のイメージは堅い。



(参考:広瀬川のHP、『日本の妖怪の謎と不思議』、高木敏雄『日本伝説集』、『日本の民話事典』、柴田宵曲『奇談異聞辞典』、根岸鎮衛『耳嚢』、柳田國男『日本の昔話』『遠野物語拾遺』)

ジョロウグモ

『ジョロウグモ』(絡新婦、あるいは女郎蜘蛛)

ジョロウグモ

日本の怪談において、蜘蛛の妖怪変化は数多く登場する。巣を張るという蜘蛛本来の性質のためか、この妖怪は罠を張って人間を捕えようとする傾向が強い。

その最たるものとして、ジョロウグモがいる。
多くは美女となって姿を現し、その美しさで誘惑あるいは油断させる。ウブメのように赤子を抱かせようとするパターンもある。綺麗な花には棘があるとはよく言ったものだが、美しいジョロウグモこそ一番危険な棘を持つ妖怪なのだ。
美しくか弱い女性だからといって油断してはならない。一見美しく繊細な蜘蛛の巣のように、その美しさこそが、罠である。





以前テレビでジョロウグモの映像を観たのですが…すごかった。

・メスの体はオスの何倍も大きく、また色も毒々しい
・オスがメスに近寄ると容赦なく食べられてしまうため、オスはメスの食事中、隙をついて交尾する。終わったら急いで逃げろ逃げろ!


こんなの見たら、そりゃあ怪談にするよな…。
蜘蛛の中にはメスに食べられないよう先に糸で縛ってから交尾するのもいるそうです。うわぁ。

『旅する仮面』展行ってきました

沖縄県立博物館・美術館で開催されている『旅する仮面』展に行ってきました。

テレビで呪い面の番組をみたばっかりなのはどうかと思う…。でも面白かったです。
同じ場所で『お化け屋敷で科学する!』展もやっていたのですが、随分お客さんの数が偏って…いや、何でもありません。そっちも行ってみたいけど混んでて三十分待ちでした。


仮面展





『旅する仮面』展は沖縄を中心に、日本、そして世界各地の仮面を集めた展覧会です。日本の仮面も結構多い。天狗や狐面、能面や雅楽の陵王面、大江山の神楽面までありました。陵王の面、近くで見ると結構怖い…。世界の仮面ということですが、アジア、アフリカ地域が多めでした。

特に面白かったのは、スリランカ南西部に伝わる病気治療儀礼『サンニー・ヤクマ』の仮面です。
この地域では病気は悪霊によるものだと考え、儀式によって病魔を祓うのだといいます。それぞれ『アモック』=嘔吐、『コーラ』=狂気、『ジャラ』=下痢というように十八種類の病魔が当てはめられています。十八種類の仮面がずらりと並んでいるのは圧巻でした。すごくカラフル。
しかし伝染病は『ヴェディ』と『デーヴァ』の二種類あるのは何故だろう。


バリの伝統芸能バロンダンスに使われる、聖獣バロンと魔女ランダの仮面もありました。結構大きいなあ。どちらも派手な美しい細工をしているのですが、ランダの方が、牙が長かったり、舌もだらりと垂れていて、なるほど凶悪な感じです。
バロンダンスとは善のバロンと悪のランダとの終わりなき戦いを描いた物語です。映像コーナーでも見れるようなのですが、上映内容は日替わりなのか、私が見れたのは西表島のオホホ神とオバマ島のダートゥーダーでした。バロンダンスも見たかった…。あ、でもオホホの映像面白かったです。西表島の祭事に登場する仮面神で、「オホホ、オホホ」と声を発しながら、女性に近寄ったりお金をばらまいて気を引こうとしたりするユニークな神様です。全く相手にされず必死な感じが楽しい。「オホホ」というより「トゥオオオオ!」って感じに聞こえました。


その他にも興味深い仮面が沢山あって、とても面白かったです。カナダの変身仮面(口元のパーツが自由に入れ替えられる仕様になっている)とかメキシコの虫モチーフの仮面(グロい)とか。
終わりの方では、子供たちから募集した仮面デザイン画が壁に貼ってあったり、自由に装着できる仮面体験コーナーがあったりと最後まで楽しめました。一人で来たので仮面を試しづらい…と思ったけど、その時コーナーに誰もいなかったので、京劇の西遊記みたいな猿の仮面つけて鏡をのぞいたりしてました。意外と似合うじゃないか。




ちなみにイラストや説明は展示会の図録も参考にしています。
図録を買ったらポスターがついてきたのですが、これがデカい。75×50㎝くらいある。掲示板とかに貼ってある広告用のサイズかなあ…。正直持てあましている。

[ 2012/08/18 14:08 ] 雑記 | TB(0) | CM(0)

雪隠の怪

※雪隠=トイレ
雪隠の怪


・『怪談四更鐘』より
旅の者が道に迷い、とある山寺に泊めてもらった。夜中、便所に行きたくなり「もう何時だろうか」と思いつつ暗い中を探し歩く。辿り着いたは良いものの、鍵は開いているのに扉が開かない。思い切り引っ張って開けると、その向こうには化け物がいて「もはや二時だぞ」と言った。




今何時かなーと思っていたら、どこからともなく「もう二時だよ」と声がした、というだけの怪談の方がよく聞く気がします。
夜中のトイレに行くだけでも怖いのに、その先に化け物がいたらもっと怖い。さらにその化け物が時間まで教えてくれたら…!




…逆に怖くなくなるんじゃないか?

インソムニア

insomnia

おやすみなさい、よいゆめを。


[ 2012/08/13 19:54 ] その他・イラスト | TB(0) | CM(0)

こまった欲しがりさん

大煙管・杓子岩

『大煙管(おおぎせる)』
・徳島県三好群に伝わる化け狸の怪。吉野川を下る舟が破損したりして岩陰に泊っていると出る。夜更けに岸から突然大きな煙管が出てきて「煙草をくれ」と言う。煙草を詰めてやらないと、色々怪異が起こったり、舟が沈没したりする。しかしいっぱいにするには四十匁袋を十個も必要なのですごく困る。(『阿波の狸の話』より)

『杓子岩(しゃくしいわ)』
・岡山県苫田群に伝わる怪。夜、箱神社の傍を人が通ると「味噌をくれ」と言って杓子を突き出してくる。(『妖怪名彙』より)





大煙管の場合、一匁=約3.75gを×40で、一袋150g。それを十個で1500g…地味に迷惑だなあ。
杓子岩も困るけど…路上で急に味噌をくれって言われても。柳田國男いわく「味噌を持って歩く人もそうあるまいから、これはもと味噌を供えて祭った石かと思われる」だそうである。

大煙管につられて杓子も大きく描いてしまったが、別に大杓子の伝説ではありません。たぶん。


相撲幽霊

うわなり打ち


・『諸国百物語』より「栗田左衛門介が女房、死して相撲を取りに来る事」。

栗田左衛門介は妻を亡くして三年独身でいたが、周囲の勧めで再婚した。すると左衛門介の留守中、後妻のもとに前妻の幽霊が現れる。後妻は相手が幽霊だと気づかず、「こんなきれいな奥さんがおりながら重婚とは、武士の風上にもおけぬ!」と夫を問い詰め離婚しようとする。すると夫は「前妻は三年前に亡くなっており、それ以後あなた以外に妻を迎えた事はない。きっとそれは幽霊である。私に命を預けたと思って留まってくれ」と説得し、妻は仕方なく家に残った。
しばらくすると再び前妻が現れ、まだ出ていかないのかと憤る。「あなたは亡くなっているのだから、あなたこそ帰るべきでしょう」と説得しようとすると、前妻は「ならば相撲で勝負し、負けた方が帰ることにしよう」といって跳びかかってきた。しかし後妻の方も負けてはおらず、「承知した!」と受けてたつ。
途中で左衛門介が帰ってきたので決着がつかなかったが、その後も留守を狙っては五回も相撲を取った。しかし何度も幽霊を相手にして思い悩み、後妻はだんだん弱っていった。何度も幽霊が来ていた事を、最後に打ち明けてから妻は亡くなり、夫は出家して修行の旅に出た。


○○○


後妻を追い出そうとする前妻の幽霊もパワフルですが、それ以上に受けてたつ後妻が格好良い。
呪い殺すなどではなくて、物理的に勝負をするという面白いパターン。幽霊だからといって力が強くなったりもしていない。正々堂々と相撲勝負…さすが武家ですね。





ちなみに、これと似た話が中国の怪異小説にもあります。



・『聊斎志異』より「鬼妻」。

聶という男の妻が亡くなり、悲しんでいると妻は幽霊となって戻ってきた。彼は喜びしばらくの間そのまま一緒に暮らしていたのだが、家族に説得されて後妻をもらうことにした。その話を知った幽霊の妻は男の不実をなじって消えた。
婚礼の夜、前妻がやって来て「私の寝台を取るな」と後妻を殴る。後妻も負けじとつかみかかり、取っ組み合いとなった。夜が明け前妻が帰ると、幽霊だと気づいていない後妻は「奥さんは死んだと言って私をだましたのですね」と怒り自殺しようとした。それをなんとかなだめ、説明すると後妻はおびえてしまった。その後も前妻の幽霊は現れ続けたため、やむなく男は除霊を頼み、それからは何事もなかったという。


○○○


幽霊なのに殴って追い出そうとする前妻が、怖いような可愛いような。聊斎志異もとい中国怪談は、幽霊と生身の人間があんまり変わらなかったりして面白いです。牡丹灯籠も中国原案だし。

先ほどの相撲幽霊と話が似ていますが、こちらの場合、男が幽霊を一旦受け入れてしまいます。妻二人が喧嘩してもおろおろするばかりとちょっと格好悪い。一方奥さん達は、勝負というより殴り合いのケンカ…強いですね。








おまけ。


・同じく『諸国百物語』より「大森彦五郎が女房、死してのち双六をうちに来たること」

妻が亡くなって三年、周囲に説得されて彦五郎は妻を迎えることにした。すると前妻と仲の良かった侍女が彦五郎にこんな話を打ち明けた。
「私は生前の奥様とよく双六を打ち合っていました。しかし実は亡くなってからも夜な夜な現れて一緒に双六をし、もう三年になります。しかし旦那様が後妻を迎えられることになったので、私は、『奥様には子供の頃から可愛がっていただき、とても感謝しております。しかし後妻を迎えられる今、奥様が夜な夜な来ている事が知られれば、きっと後妻を妬んでいるのだと勘違いされてしまいます』と訴えました。すると奥様は「確かに、双六打ちに未練があったとは誰も思わないでしょう。わかりました、もう来ません」と言って帰ってしまわれました。」
それを聞いた夫は双六盤を墓の前において弔ったという。


○○○

こちらは双六幽霊です。(ここでいう双六は私たちの遊ぶ紙双六ではなく、盤の上で何個も駒を使う別のもの)
双六打ちに来る幽霊は微笑ましいですね。しかし、旦那に対して未練がなさすぎるのでは…。まさか三年通って一度も会いにこないなんて。

西瓜の首

人面スイカ

夏の果物といえばやっぱり西瓜。
というわけで、西瓜にまつわる怪談を集めてみました。


(注意:果物と生首の連想という、若干グロテスクな内容を含みます)








(1) 『怪談実話揃』より「西瓜の怪」(志村有弘『怪談実話集』所収)。

とある西瓜売りの売った西瓜が、割ってみるとどれも断面が人の顔をしている。種の並びがきれいに目や口となって、まるで女の顔のように見えるのだ。
気味悪く思った客に文句を言われ、西瓜売りは仕入れ先に真相を確かめに行った。西瓜畑の主人によると、この家では最近何もせずとも勝手に西瓜が実をつける。とても瑞々しく美味な西瓜で、この家で食べる分には人の顔など現れないという。しかし西瓜売りから話を聞いた主人には思い当たる節があった。実は以前、家の前に物乞いのお婆さんが住みついたことがあり、あれこれ世話してやったが間もなく亡くなった。亡くなった場所は現在西瓜畑となっているところだった。
念のためにとその場所を掘り返してみると、そこからひとつの髑髏がでてきた。その後、「この家の西瓜は死んだ老婆の恩返しなのだろう」と村人の間で噂になったという。


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西瓜が日本に渡来した年代ははっきりしておらず、一般的に室町時代とされる。江戸時代には広く流通していたものの、その形や色が、人間の頭部あるいは血肉を連想させるといって下賤な食べ物の扱いを受けていた。ましてや昔の西瓜は「鉄カブト」といわれる模様のない黒無地のものが一般的だった。それが余計、人の頭のように見せてしまったのだろう。とくに上流人士や女性が口にするものではなかったという。
果実の丸みが人間の頭部を連想させる、という考えは現代人の我々にも通じる感覚ではないだろうか。殊にスイカにおいてはその傾向が顕著である。人間の頭部に近いサイズの球体であり、黒々した外見、しかし中身は血のように鮮やかな赤色。江戸の人々が気味悪く思ったのも頷ける。

先ほどの話は明治・大正時代のものであるという。
江戸人の感覚をより深く理解するために、次は江戸時代の怪談を紹介しよう。



(2)黄表紙『怪談四更鐘(かいだんうしみつのかね)』。

過去に多くの人間を殺した男がいた。男はその地域に住んでいられなくなったため江戸に移り住んだ。江戸では西瓜の担ぎ売りを始めたが、なぜか一向に売れない。
なぜなら彼の持っている西瓜はみな、今まで殺した人の生首だったのだ。


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またしても西瓜と生首の連想である。むしろこの話において、西瓜と生首は完全に同一化されている。男の持っていた西瓜は本当に西瓜ではなかったのか。いつの間にやら生首と入れ替わったのかもしれない。それとも西瓜を見た人々の幻想か。はたまた殺した人々の怨念なのか。最初から生首だったとしたら、それは何故。

西瓜と生首はそっくりなのだ。それが、もし、入れ替わっても気づかないほどに。

ごろごろと籠に盛られた西瓜は、遠目にはそれが本当に西瓜か分からない。江戸の町を、威勢良く声を出して西瓜を担ぎ売る男が歩いているとしよう。しかしその籠に盛られているのは、もしかすると人間の生首かもしれない、と思ったらこんな怪談も生まれよう。当時の人々の、西瓜に対する薄気味悪い感覚が伝わってくるようではないか。






「西瓜と生首の入れ替わり」というとまるで推理小説のトリックのようだが、これと全く同じ題材といえば、なんといっても岡本綺堂の作品である。


(3) 岡本綺堂『西瓜』。

この作品では、西瓜にまつわる二つの怪が扱われている。

ひとつは友人の家で発見された江戸時代の随筆。その内容は、まさしく西瓜と生首の入れ替わり事件だった。
江戸の町で、丸い風呂敷包みを抱えた不審な男が呼び止められた。持っていた包みを開けさせると、なんと生首。すぐさま男は御用となる。男は主人の言いつけで西瓜を届けに行くはずが、なぜか中身が生首に代わってしまい驚いている。詮議の途中、念のためにと再び包みをほどくとそれはやはり西瓜だった。許された男が家に戻ると、包みの中はまた生首。主人が確かめるが西瓜に戻っていたので、割ってみると中から青蛙と女の髪の毛が出てきた。仕入先の屋敷には不穏な噂があるものの、結局真相はわからなかった。風呂敷包みの西瓜が、目を離すたびに生首と入れ替わるという珍談である。

もうひとつは、この友人の家に伝わる伝説。彼の家には昔、金持ちの百姓が住んでいた。しかし西瓜泥棒の老婆を撲殺して以来、この家の者が西瓜を食べると病気になって死んでしまう。持ち主が変わっても呪いが続いていると言うので、彼の家族は西瓜を食べないのである。しかし迷信を信じないこの友人は西瓜を平気で食べているが…、というストーリー。


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『西瓜』はこの二つの怪が交錯し、ぞっとするような西瓜の怪談を生みだしている。
黄表紙『怪談四更鐘』と同じく、西瓜と生首の類似性を主軸にした怪談である。西瓜が生首に化けているのか、生首が西瓜に見えるのか、どちらが本物かあやふやな状態で物語が進む不安定さがある。最初に西瓜と生首のイメージを強く印象付けることで、そのあと語られる西瓜の呪いがより恐ろしいものとなっている。これでは食べてはいけないと言われずとも食欲が失せてしまいそうである。
また、最初に紹介した「西瓜の怪」とも共通したところがある。死んだ老婆の西瓜だ。といっても先の話とは全く真逆である。「西瓜の怪」では老婆の恩返しで西瓜が生り、家の者だけに害がない。むしろ人面西瓜と老婆の髑髏というおどろおどろしいモチーフの割に、心暖まるような良い話となっている。
一方この話では、老婆の復讐ともいえる形で家の西瓜に呪いがかかり、家の者だけに害がある。ただ西瓜を食べたというだけで病死するという単純さは、ひどく現実的で、反面とてつもなく恐ろしい。


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このように、西瓜の怪談はいくつもある。しかし展開やモチーフが似ているものが多く、それは西瓜に対する恐怖に共通したところがあるからではないだろうか。

そのビジュアルから生まれる、人の生首への連想。

西瓜とは血肉であり、人間の頭部である。そんなイメージを容易く想像させるような印象が西瓜にはある。
現代においてもしかり。西瓜と思ったら生首だった、などという怪談話は平成の世でも聞かれるものである。こんな話をしてしまうとビーチでのスイカ割りですら気味悪く思えてくるかもしれない。



青い海、白い砂浜。
楽しそうにはしゃぐ子供たちの声。彼らが取り囲み、棒を打ち下ろしているものは。


果たして本当に西瓜だろうか。





長文失礼しました。
こんな事ばかり書いていたら、西瓜を食べるのが嫌になってしまうかもしれませんね。


そんなあなたに、ユーモラスな見た目の西瓜の妖怪をどうぞ。

西瓜の化物

(4) 『蕪村妖怪絵巻』より、大坂木津の「西瓜のばけもの」。

木津は西瓜の産地として知られていたそうですが…。
詳細は不明なので、一体何をする妖怪なのかは良く分かりません。

怪談牡丹燈籠

牡丹


カラン、コロンと下駄の音。
怪談牡丹燈籠のお露さん。燈籠持ってるの、本当は女中お米の方ですけど。
画像の添付を試してみたのですが、ちょっとサイズ大きいかな…?でもこれ以上小さいと細かいところが潰れちゃうんですよね。


8月17日のNHK「にっぽんの芸能」が三遊亭圓朝についてです。楽しみだ~。

はじめまして

はじめまして、こんにちは。すずしろと申します。


当ブログでは、妖怪や怪談の紹介を中心としたイラスト・漫画の展示を行う予定です。
その他にも歴史や文学、ファンタジー関連など、とにかく雑多な内容になるかと思われます。

初めてのブログで至らない点も多いかもしれませんが、どうぞゆる~くお付き合いいただければ幸いです。
[ 2012/08/07 11:15 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)