裏表のある男がいて(マザーグース)

久々のマザーグース紹介です。

※残酷・流血表現があるため画像を小さく表示しています。
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裏表のある男

There was a man of double deed  裏表のある男がいて
Sowed his garden full of seed.  庭にいっぱい 種まいた
When the seed began to grow,  種が育ちはじめると
'Twas like a garden full of snow;  庭は一面 雪のよう
When the snow began to melt,  雪がやがて溶けだすと
'Twas like a ship without a belt;  装甲帯のない 船のよう
When the ship began to sail,   船が進みはじめると
'Twas like a bird without a tail;  まるで 尾のない鳥のよう
When the bird began to fly,    鳥が羽ばたきはじめると
'Twas like an eagle in the sky;  まるで 空飛ぶ鷲のよう
When the sky began to roar,  空が 雷鳴とどろくと
'Twas like a lion at the door;  ドアの前にいる 獅子のよう
When the door began to crack,  ドアがひび割れはじめると
'Twas like a stick across my back;  私の背を打つ棒のよう
When my back began to smart,  背中がずきずき痛みだすと
'Twas like a penknife in my heart;  心臓 突き刺すペンナイフのよう
When my heart began to bleed,  心臓から血が流れだすと
'Twas death and death and death indeed.  それはまさしく 死だ 死だ 死なのだ


[ 2016/11/12 02:21 ] マザーグース | TB(0) | CM(0)

飲んでいるのにのどが渇く(マザーグース)

We're all dry with drinking on't,
We're all dry with drinking on't,
The piper kissed the fiddler's wife,
And I can't sleep for thinking on't.

飲んでいるのに のどが渇く
飲んでいるのに のどが渇く
笛吹きが バイオリン弾きの妻にキスをした
そのこと思うと眠れないんだ


《語句》
※dry=thirsty:のどが渇いた(スコットランド英語)
※on't=on it
※piper=笛を吹く人、バグパイプを吹く人
※fiddler=フィドル奏者、バイオリニスト

笛吹きとキス
※右側の黒ベストは、前に出てきた仕立て屋の彼。





この唄は1744年出版の『トミー・サムの可愛い唄の本』という童謡集に載っている、とても古いマザーグースです。

その後これを参考にして、スコットランドの詩人ロバート・バーンズが『私の恋人はまだ小娘(My love, she's but a lassie yet)』という唄を発表しました。
その唄では、
「牧師がバイオリン弾きの妻にキスをして、それを思うと説教もできない」
(The minister kisst the fidler's wife: He could na preach for thinking o't.)
という内容になっています。
[ 2014/05/11 22:24 ] マザーグース | TB(0) | CM(0)

月とバルーン(マザーグース)

What's the news of the day,
Good neighbour,I pray?
They say the balloon
Is gone up to the moon.


ご近所さん 今日のニュースはなんでしょう
彼らが言うに 月までバルーンが飛んだそう


※I pray=「お伺いしますが」という気持ちの丁重表現。
※「day」と「pray」、「balloon」と「moon」で韻を踏む。



この唄は、十八世紀末のヨーロッパで気球実験が大きな話題となったことに由来するそうです。1783年、フランスのモンゴルフィエ兄弟が気球の有人飛行に初めて成功し、その後も様々な人によって気球実験が行われました。
「気球が月まで届くのか」ということも当時の話題になったそうな…!




おまけ漫画。
「月にいた男」から続いてます。
ムーンとバルーン

月面行きバルーン(アダムスキー型)。

[ 2014/04/26 19:38 ] マザーグース | TB(0) | CM(0)

ばらは赤く、すみれは青い

今日はバレンタインデーです。
しかし絵や漫画を描いている時間がなかったので…!とりあえずバレンタインのマザーグース小ネタだけでも紹介しようかと。(あとで何か付け加えるかもしれませんが。)

こういうのは前もって紹介しないとあまり意味がない、って分かってる…分かってるんです。


Roses are red,
Violets are blue. 
Sugar is sweet,
And so are you

ばらは赤く
すみれは青い
さとうは甘く
あなたもおなじ



この唄は、バレンタインに定番のマザーグースです。海外のバレンタインではカードを送り合うことが多く、その文面としてもこのマザーグースは使われています。ちなみに人間に対する「甘い(sweet)」には、優しい、可愛いといった意味があります。

さらに長いバージョンでは、つぎのような歌もあります。

The rose is red, the violet blue,
The honey's sweet, and so are you.
Thou art my love, and I am thine;
I drew thee to my valentine;
The lot was cast and then I drew,
And fortune said it should be you.

ばらは赤く すみれは青い
はちみつは甘く あなたもおなじ
あなたは私の恋人 私はあなたのもの
私のバレンタインにあなたを引き当てた
くじが引かれ 私は引き当てた
あなたなのだと運命が告げた


※Thou art~:あなたが~だ
※thine:なんじのもの
※lot:くじ


古い唄のせいか、英語の言い回しがちょっと難しいですね…。

この唄はバレンタインデーの古い慣習を表しています。現在のバレンタインの時期になると、昔はルペルカーリア祭というお祭りが行われていました。名前を書いた紙を箱の中に入れ、くじ引きで祭りのパートナーを決めたそうです。そしてこのイベントがバレンタインの起源とも言われています。

またバレンタインの日には、最初に目にした異性が恋人となると言い伝えられています。シェイクスピアの戯曲『ハムレット』でも、悲劇のヒロイン・オフィーリアが「明日は聖バレンタインデー 夜明け前からあなたの窓辺に立って わたしはあなたのバレンタインになるの」という唄を口ずさむシーンがあります。

そして、さらに別のバージョン。

The rose is red,the violet blue,
The gillyflower sweet, and so are you.
These are the words you bade me say
For a pair of new gloves on Easter day.

ばらは赤く すみれは青い
アラセイトウは甘く あなたもおなじ
これはあなたが唱えさせた言葉
イースターの日 新しい手袋のために


※gillyflower:アラセイトウ、ストック(花の名前)
※bade:bid(~するように命じる)の過去形


こちらはバレンタインではなくイースター(復活祭)の唄となっています。同じく古い慣習を表しており、昔はイースターの日に恋人へ手袋を贈ったのだそうです。そしてやっぱり恋の歌ですね。






「ばらは赤く、すみれは青い」の唄は言葉が分かりやすく有名なので、色々な小説や映画にも使われています。

ローラ・インガルス・ワイルダー著『大きな森の小さな家』には、主人公のローラと姉のメアリーが町の雑貨屋に行くシーンで登場します。店のご主人は姉妹に、白くて平べったい、ハート型のキャンディーをプレゼントします。ローラのキャンディーには赤い字で「Sweets to the sweet(かわいい子に、甘いお菓子を)」とだけ書かれていたのに対し、姉のキャンディーには「ばらは赤くすみれは青い」の唄が書かれていました。姉に劣等感を感じているローラは、「メアリーはお行儀もいいおりこうさん。きれいな金髪の巻き毛だし、ハート形のキャンディには詩が書いてある」「いいことはメアリーばっかりなんて、ずるいなあ」と考えます。ローラが思わず羨むような素敵なものとして、この唄は使われているのです。
(※参考 ワイルダー著、こだまともこ・渡辺南都子訳『大きな森の小さな家』)


ちなみにただ引用されるだけでなく、唄をもじったパロディも多いです。

『大きな森の小さな家』のシリーズ続編(ただし作者はワイルダーの娘)『大きな赤いリンゴの地』では、「ばらは赤くすみれは青い、アスフェティディ(植物の樹脂)はくさい、お前もくさい」というからかい唄になっています。
同様に、スティーブン・キング著『キャリー』でも「ばらは赤い。すみれは青い。砂糖は甘い。でもキャリー・ホワイトはうんこを食べる(Sugar is sweet,but Carrie White eats shit.)」という悪口が出てきます。
(※参考 鳥山淳子著『もっと知りたいマザーグース』)


バレンタインのためのマザーグースも、その有名さから便利に使われているようです。
[ 2014/02/14 18:27 ] マザーグース | TB(0) | CM(0)

ハロウィンとマザーグース・おまけ

ハロウィン漫画のおまけです。(←先に読むことをオススメします)


[ 2013/11/02 20:09 ] マザーグース | TB(0) | CM(0)